LOGIN俺達が荒井達の元まで行き、水樹が話しかける。
「悪い悪い、待たせたか?」
「いや、俺達も今着いた所だったから大丈夫」と荒井が答えるが、若干視線が彷徨っている。
すかさず今度は田口が「どうしたん? そんなにキョロキョロして~」
とツッコむ。
すると今度は池田が「中居は居ないの?」
と疑問を口にする。
この質問は想定内だったので作戦通りに水樹が「あいつ及川とのデートって事すっかり忘れてたらしくてな。及川に連れて行かれたよ」
「はは、そうなんだ、残念」「中居も及川には勝てないのかな」と返事を返すが何処かホッとしている。
「その代わり友也呼んどいたから問題ないだろ?」
と水樹が視線をこっちに向けながら言うと
「俺等は別に構わないぜ」
「ああ、今じゃ有名人だしな」と答えると田口が
「なになに~、佐藤君ってそん
「へー、そんな事になってるんだ」「ああ、だから俺はその二人の為に何かしたいと思ってる」 俺は今、南とデートの最中だ。 バイトの話や昨日の出来事を話している。 楓に言った様に、南にも事情を説明する。「でもさ、お姉さんの方はトモの事好きなんでしょ?」「その好意自体がボッチ特有の優しくされたら好きになるって事だとダメなんだよ」「どしてー? 好きには変わらないじゃん。トモだって最初はそうやって楓の事好きになったんでしょ?」 南に痛い所を突かれる。 確かに俺の初恋は優しく話しかけてくれた楓だった。 だけど、学校中探してもその子が見つからず諦めた。 その後に現れた楓を好きになり、偶然初恋の相手が楓だったのだ。 だから俺が楓の事を好きなのは優しくされたからとかでは決してない。 一人の女の子として好きになったのだ。 今思えば、優しくされたから好きになるというのは、お腹を空かせた子猫がエサを貰って懐くようなものだったと思う。 この人なら自分を傷つけないだろうという安心感だ。 そんな物は好きとは言えない。 沙月のお姉さんがまさにその状態なのだとしたら、早く目を覚まさせたい。 そして俺なんかじゃなく、ちゃんとした相手を好きになって貰いたい。 という事を南に説明する。 難しい顔をした南は「う~ん、細かい事は私には分からないけど、トモが何かしたいんなら応援する!」「ありがとう」「私もその人見てみたいなー。今からファミレスに行けば会えるかな?」「二日連続で休日出勤になるから勘弁してくれ」 その後、南の提案でカラオケに行ったりして南とのデートが終わった。 いつもの様に早めにバイト先に着く。 制服に着替えのんびりしていると、先輩が事務所に入って来た。 シフト表を確認して首を傾げている。 そして店長に確認するように「真弓さん、今日って桐谷って出勤ですか?」
楓の発言により、沙月は楓の存在を思いだしたのか俺から距離を取る。「ご、ごめんなさい! デート中でしたよね」 と言って俺と楓に向かって頭を下げる。 よかった。これで何とかこの場は納まる。 と考えていたら楓が「どうして友也君を頼ったの? 貴女のお姉さんなんでしょ?」 と、沙月に質問する。 それに対して沙月は「姉とは相性が悪いと言いますか、苦手なので友也さんに頼ってました」 と、少し俯きがちになりながら言う。 それを聞いた楓は「友也君、その人に会ってみたいから助けに入ってあげて。私はそれとなく観察してるから」 と言い、沙月に「構わないでしょ?」と言って俺を制服に着替えさせる様に促す。 仕方がないので制服に着替え、ホールに出る。 すると「ホントにありがとうございます。いい彼女さんですね」 と言ってきたので「今回だけだからな。それに楓は彼女じゃない」「え? そうなんですか!」 とビックリしているが、俺達の関係を説明するのも面倒だったのでそのまま無視した。 そんな話をしているとピンポーン と呼び出し音が鳴る。 テーブルを確認すると、沙月のお姉さんの居る席だった。「んじゃ行ってくる」 と沙月に言い、呼び出されたテーブルに向かう。 そして、いつの間にか席を移動していた楓が沙月のお姉さんの真向かいの席に居た。「お待たせしました、ご注文はお決まりでしょうか?」 と声を掛けると、ゆっくりとこちらを見上げ「あ! えっと、今日もあなたなんですね」「ええ、桐谷は今他のお客様の接客中でして」「は、はい。いつもこの時間に働いてるんですか?」「今日はたまたまです。人手が足りないらしく急遽入りました」「そ、そうなんですね」 今日はよく喋るな。 まぁこの間ずっと俺が担当してたか
いつもの会議で今日の出来事を柚希に報告する。「へ~、その女の人にどんな印象を持った?」「細かい所は違うけど、去年までの俺を見ているようだった」 沙月の姉と言われた女の人の印象は昔の俺だった。 人と接点を持たず、一人の世界に没入する。 沙月の様なキャラからしたら苦手と思っても仕方ない。「そうだね。私も聞いた限りだとそんな印象かな~」 柚希は俺を利用して悲劇のヒロインを演じていた。 だけど普通の兄妹はそんな事はしない。 沙月達姉妹は普通の姉妹だ。 このまま沙月に嫌われ続けるお姉さんは見たくないな。「なぁ、どうすればいいと思う?」 柚希の計画とはいえ、俺は柚希のお蔭で今の俺が居る。 だから柚希なら何か良い案があるんじゃないかと思い質問したが「別にどうもしなくていいんじゃない?」 と言われた。「それはあの姉妹を見捨てろって事か?」「っていうか、他人だよ? お兄ちゃんはどうして助けたいの?」「柚希も言った通り、俺に似てるからだ!」「なら分かるんじゃない? 他人からあれこれ言われるのは嫌なはずだよ。昔のお兄ちゃんみたいにね」「それは……」 柚希の一言で言い返せなくなる。 図星だったからだ。 昔の俺は他人から色々言われるのが嫌だったから一人でいた。「分かったでしょ? 今は私達に出来る事はないよ」 その言葉で締めくくり、会議は終了となった。 沙月姉妹の事は気になるが、今日は楓とデートの約束をしてある。 なるべく考えない様にしてターミナル駅で楓を待っていると「だ~れだ?」 突然後ろから目を塞がれた。 背中に柔らかい感触を感じながら答える。「楓だ!」「せ~か~い♪」 と言って手を離し、正面に移動する。 キャンプ以来会っていなかったので久しぶりに楓の笑顔を見る
バイト初日の夜の会議。 偶然合コンで知り合った沙月と再開した事を伝える。「それはもう運命だね! ちゃんと仲良くしてその子を落としてね」「仲良くはするけど、落とすとかそんな事はしないから」「ホントかな~?」「大体、落とせる様なテクニックなんてないからな」 その後も沙月をハーレムに入れるだとか言われたが断固拒否した。 バイトを初めて一週間が過ぎた。 仕事の方は段々と慣れてきて、自分である程度動ける様になってきた。 そしてこの一週間で沙月の事も分かった。 職場の先輩から聞いた話によると沙月は結構な面食いで、男をとっかえひっかえしているらしい。 噂を鵜呑みにする事は出来ないし、そんな素振りも見られない。 俺が楓と付き合った時みたいに嫉妬や妬みで流れた噂かもしれないしな。 そしてバイト中は何かにつけて「ここでは私の方が先輩ですから!」 と言ってくる。<i660661|21416> 沙月は俺が入るまで一番の新人だったらしいので、俺が入って先輩面したいのだろう。 特にそれで困っている訳ではないので今では軽く流している。「おはようございます」 と言いながら事務所に入り、制服に着替える。 椅子に座り勤務開始まで目を瞑りリラックスするのが俺のお決まりになっていた。 目を瞑ったタイミングで女子更衣室のドアが開く。 どうやら俺が更衣室で着替えている間に出勤したようだ。 シフト表だと沙月が一緒に出勤になっている。「あ! おはようございます~」「おはよう、今日は早いね」「まあ、そんな気分だったので」 気分で出勤時間を変えちゃいかん。 俺みたいにいつでも早めに出勤しないと。 なんて事を考えていると「友也さんにとって私ってなんですか?」「バイトの先輩」「その通り! なので今日はお願いがあるんです」「
初めて合コンに行った事を柚希に伝えると、何故か凄い喜んだ。「これからもドンドン行こう! お兄ちゃんはもっと女に慣れないとダメだからね」 と言っていたが、正直合コンはもう行きたくない。 あのノリには着いていけない。 でも、沙月とアニメの話をしたのは楽しかったな。 テンション上がってLINE交換しちゃったけど、きっと向こうもノリで交換したに違いない。 合コンの最後に他の二人とも交換したけど、それが合コンのルール的な物なのかも。 社交辞令みたいな物だな。 今日はアルバイト初日だ。 30分前には来てくれと言われていたので、余裕を持って40分前に到着する。 昨日教えて貰った従業員専用出入り口から入り、事務所のドアをノックして中に入る。「友也君じゃないか、早いな」 と店長の間嶋真弓さんが言う。 店長の事は真弓と呼んでくれと言われてたっけ。「いつも10分前行動なんですよ」「そうか、若いのに偉いじゃないか。とりあえず座って待っててくれ」 と言って店長は事務所から出て行ってしまった。 言われた通り適当な席に座る。 事務所の中を見てみると、壁には色々な書類やホワイトボードがある。 キョロキョロと事務所を観察していると、店長が戻ってきた。「これが制服だ。更衣室はそこにあるから取りあえず着替えてくれ」 と言われ、更衣室で制服に着替えようとしたが、どのロッカーを使っていいか分からない。 事務所に戻り聞いてみる。「すみません店長、ロッカーはどれを使えばいいですか?」「名札を付けるのを忘れていた。空いてるロッカーを使ってくれ」「分かりました」 と言って更衣室に戻ろうとすると呼び止められ「私の事は名前で呼ぶように」 とだけ言われた。 店長と呼ばれるのがキライなのだろうか。 着替えを済ませ事務所に戻ると「似合ってるじゃないか」
ターミナル駅に着いて、集合場所まで行くと水樹と田口が待っていた。 「来た来た、悪いな」 と謝って来る水樹に対して「俺は楓と南が好きだって言ったよな?」 と言うと「でも付き合ってる訳じゃないだろ? 居るだけでいいからさ、頼む!」「そりゃそうだけど……分かったよ、居るだけでいいんだな」「マジ助かる! 今度お礼するわ」 今まで水樹には助けられてきたし、こんなに必死に頼む水樹は見た事ないからな。 少しでも恩を返せたらいいんだけど。 「それよりも今日来る女の子って可愛いん?」 と田口が水樹に食い気味に質問する。「ああ、可愛いんじゃないか? 幹事の子しか知らないけどその子の周りはレベル高いからな」「よっしゃー! 誰かといい感じになって今年の夏はエンジョイするっしょー!」 相変わらずの田口だが、俺は水樹が気になった。「水樹も出会い求めてるのか?」「いや、特に。今日も幹事の子に無理やり男集めろって言われてさ」「幹事の子は狙ったりはしないのか? 可愛いんだろ?」「いやー、アイツは絶対に無いな」 水樹がここまでハッキリ無いなんて言うとは。 過去に何かあったのだろうか。 そんな事を考えていると、ウチの学校の制服ではない女子3人組が近づいてきて「やっほー孝弘、今日はありがとねー」 と声を掛けてきた。 どうやらこの子達が今日の相手らしい。「お前はいつも急過ぎんだよ。しかもイケメン用意しろとか無茶振りもいいとこだ」 水樹と女子のリーダーっぽい子が話している。 恐らくあの子がさっき言っていた幹事の子なのだろう。 髪は肩程で茶色、目はパッチリしていて大きい。 身長もそこそこ高く、スラッとした足がスカートから伸びる。 所謂モデル体型という奴だ。「でも~、ちゃんとイケメンいるじゃん」 と言いなが







